プロローグ~或る七宝作家との対話

「あいたくて」一年後、三年後・・・未来の自分にあいたくて、未来の皆様にも同じようにあいたくて。

そしてこれから未来に続く風景にも、「とき」にも

どちらへ、またあした、そしてあいたくて。

これからの人生の憧れです。好奇心と想像力を常に持って生かさせていただいている幸せ。何と申しましても、皆様との強くて温かい絆で結ばれているお恵み。

感謝をこめて、「ありがとうございます」を心から申し上げます。

                           2012年 重陽の節句に


この文章は、今から8年前に傘寿を迎えた一人の七宝作家が古い手帳に記したメモである。彼女は七宝創作が不自由になった今でも、毎日「なにか」を書いている。時にはスケッチ帳に。時には古い画仙紙に。崩れそうなほどの手紙と本が積まれた小さなリビングデスクに便箋一枚分のスペースをかろうじて確保しながら。



森の季節、風の色

なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる